国土交通省官公庁が2014年5月21日に発表した「訪日外国人の消費動向・訪日外国人消費動向調査結果及び分析・平成26年1-3月期報告書」(http://www.mlit.go.jp/common/001039678.pdf)を見てみると、非常に興味深い結果が出ています。

同報告書22ページに掲載されている「図表5-1 出発前に得た旅行情報源で役に立ったもの(全国籍・地域、複数回答)」及び「図表5-2 日本滞在中に得た旅行情報源で役に立ったもの(全国籍・地域、複数回答)」を見てみると、主要な情報源が殆どインターネットに依存していることが良く見て取れます。

たとえば、上述の「図表5-1」では、検索サイトを活用している人が25.1%、個人のブログが18.9%、旅行会社ホームページが16.2%、その他インターネットが15.9%、宿泊施設ホームページが11.0%、と続いており、非常に有益な情報源となっています。また上述の「図表5-2」では、インターネット(パソコン)が35.5%、インターネット(スマートフォン)が46.5%と、スマートフォンの利用率が非常に高いことも、世相を反映している結果となっていると思います。

中国で販売されている携帯電話の内、日本でもローミングできる携帯電話は、5模10頻,5模11頻などとよばれるマルチバンドの携帯電話のみとなる。

中国で販売されている携帯電話の内、日本でもローミングできる携帯電話は、5模10頻,5模11頻などとよばれるマルチバンドの携帯電話のみとなる。

中国人の訪日観光客で、たとえば中国移動(チャイナモバイル)の全球通を使っているユーザーの場合、海外ローミングで日本からスマートフォンを使いたい場合、音声通話は日本国内通話は1.99元/分、中国国内への通話は2.99元/分、データローミングの場合は6元/3MBで60元の段階で頭打ちとなり、データ流量は50MBで頭打ちというプランが一般的となっています。そのため、一週間程度の旅行であれば、フルで使ったとしてもデータローミング費用は420減程度(現時点でのレートでおよそ6900円前後)なので、そのまま使ってしまっている人も数多くいると思います。

また、それ以外に手段を知っているコアなリピーターなどは、B-Mobileなどの訪日外国人旅行客向けに発売しているデータSIMカードを予め滞在予定先のホテルに送るよう手配し、SIMフリー端末などにSIMカードを挿して使う方もおられるようです。

中国の大都市では、カフェやレストランでは無料のWiFi環境が完備されているところが多いのですが、日本ではこうしたサービスはまだまだ少ないためか、同報告書23ページにある「図表5-3 日本滞在中にあると便利な情報(全国籍・地域、複数回答)」では「無料Wi-Fi」と回答されている方が47%と最も多くなっているようで、インターネット経由で日本滞在中に情報を入手する旅行客がおおいのに反して、手軽にどこでも入手できる環境がそろっている訳ではないことが読み取れます。

筆者の周辺にいる、日本に旅行をしたことがある中国人20人程度に、これらの点を実際に聞いてみたところ、少ない滞在日数の間に効率よく目的地を全て回るために、かなりの事前調査をした上で綿密に調査を立てていることが分かりました。これは、日本に着いてしまうとなかなか中国国内のウェブサイトが閲覧しにくい(日中間の回線スピードが極めて遅い)ことに起因していると思われます。Ctrip(携程網)やバイドゥー(百度)、SINA(新浪)などのウェブサイトでは、旅遊攻略などの情報が書き込まれており、そうした情報を元に、色々と自分で検索をして訪問したい場所などを事前に準備するケースが多いようですが、香港やその他の中国語圏にある海外の情報などもかなり調べているようでした。日本にある中国語情報サイトの場合、中国からの回線スピードの問題で、スムーズに見ることが殆どできないようで、あまり人気がないというのが実情のようです。

訪日旅行中に旅行情報を収集する手段として、スマートフォンが非常に注目されてきている。

訪日旅行中に旅行情報を収集する手段として、スマートフォンが非常に注目されてきている。

話を聞いていると、特に最近の若い年代の訪日旅行者は、旅行情報の殆ど100%をインターネットに依存していると言っても過言ではない状況のようです。具体的なサイト名は書くことができないのですが、弊社の香港サーバーをご利用いただいている複数の御客様のサイトも、訪日中国人旅行客が旅行計画を立てるときに積極的に利用しているようで、上記の旅遊攻略の記事で紹介されていました。

上述の筆者の周辺の訪日旅行を経験した中国人も、日本到着後も快適に閲覧できていたと述べており、中国国内の情報だけではなく、日本からも中国からも閲覧できるサイトへの中国人訪日旅行客の情報依存というのは、今後もますます高くなっていく傾向にあると思われ、需要は増えてくるものと思われます。