このところ、日系企業や台湾系企業における労組問題が日本でも大きく報道されてきているようだが、そもそも中国においてはこの問題はずいぶんと前からくすぶっていた問題でもある。またこの問題は中国の沿岸部でも華南と華北、沿岸部と内陸部、などでも相当状況が変わってくる問題である。
そもそも、中国で商売をする場合、日本の常識や概念を一旦捨て去ってから来ないと、かなり難しいといえよう。これはどこの国でもおなじだろうが、中国では伝統的な概念をふくめてその度合が非常に強いように思う。同時に日本ではある程度西洋化された思想をもっているとおもうが、中国ではこうした思想は希薄であり、そもそもの思考の方向性が全く違うことがおおい。
南方、特に広東省は昔から中央の意見が通りにくかったり、物事がスムーズに生きにくいエリアといわれている。近年では比較的中央のコントロールがききやすくなったと聞いているが、改革開放前から様々な方法で国営企業などが外貨を稼いでいたりといった逸話もあるようなエリアだ。また、香港に近いことも有り、深セン市などは中国で最も物価の高い都市であり、当然北京や上海よりも物価が高く、広東は総じて他のエリアよりも物価が非常にたかい。また、広東に居住している人々は比較的高い給料でなければ満足しないため、一般的に工場勤務をおこなっているのは外地から来た農民工(出稼ぎ労働者)である。
まず第一に、中国で広く普遍的な考え方として「ものづくりの現場」というものを日本などに比べて過小評価する傾向にある場合が多い。これは大卒者や院卒者も同じような傾向にあり、高学歴になればなるほど工場勤務やモノづくりの現場を嫌う方向にあり、むしろホワイトカラーの方へと人材が流れてしまう。工場勤務を長年続け職人となることにも抵抗があるようで、長期間じっくりと腰を落ち着けてものづくりの現場でのプロフェッショナルを目指す人が非常に少ない(繊維関係は例外だそうだが)。これは中国のひとつの大きな問題だとおもうが、そのため、中国ではプロフェッショナルな工員もいることはいるが、日本などと比べて少ないと言わざるをえない。